日本の音楽は死んでなんかいない

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■お茶の間への影響■

 

90年代、CDシングルの売上ランキングを必死で目で追い、曲を聴き漁っていた。
現在、そのチャートはとある部分で全く意味をなさない。

それが「お茶の間に影響力のある音楽」かどうかというところで。

 

お茶の間に影響力のあるアーティストは、クオリティが高く尚且つ新しかった。

X、FLIPPER’S GUITAR安室奈美恵&H Jungle with t(小室哲哉)、SPEED、篠原ともえ(石野卓球)、宇多田ヒカルモーニング娘。(つんく)、Dragon Ash、、、


平成が終わろうとしている。

CD売上はアイドル・アニメ・声優関連のものがほとんどを占める。
そこに食い込むのは昔から人気があるモンスターバンドぐらい。
新しいアーティストたちが全く見当たらない。

 

かといって新しいアーティストが出てきていないわけではない。
数えきれないほどのバンドがいるし、ディープなリスナーなら知っているとてもクオリティが高いトラックメイカーも数多存在する。
メディアや技術が発達した現在、アーティストの「住み家」が多様化したのだ。

 

■アーティストの住み分け■

 

CDという物質的媒体はアイドルやアニメ関係のミュージシャンが多い。
それはご存じの通り、握手会や特典、バージョン違い等、付加価値を付けやすいからであろう。

デジタルシングルダウンロード(以下DL)ランキングを見ると、TVやネットでよく耳にするアーティストが多く見受けられた。
純粋にアーティストが好きで曲を聴きたいからDLするのだろうと推測される。

そして今一番主流になってきているのがストリーミングサービスだ。
YouTubeは勿論、Apple Music、Spotify等の月額制のアプリで音楽を聴いている人は多い。

以上、大きく分けるとこの3パターンで音楽が聴かれている。

 

■「売れる」の定義の変化■

 

では「お茶の間に影響力のある音楽」というものはどこから出てくるのだろうか。
20世紀まではとても分かり易く、CDの売上がそのまま「お茶の間音楽」となった。
しかし現在はそうではない。
過去一年で売れた音楽を見る限り、18年3月現在ではデジタルDLランキングを住み家としているアーティストから、最もお茶の間音楽が輩出されている印象を受ける。

 

米津玄師、星野源SEKAI NO OWARIONE OK ROCKPerfume安室奈美恵、back number、RADWIMPS宇多田ヒカル秦基博三浦大知、WANIMAなど。

 

アイドルと共に空前のバンドブームが続いているが、若いバンドはきっとライブやフェスなど、現場レベルで直にリスナーに影響を与えている比重が大きい。

例えばSuchmosなんかは今とても生きの良いバンドだが、思ったよりDL数は少ない。
知名度、影響度、完成度を考慮すると、20世紀ならCDとしても相当売れていたはずだ。
ジャンルは違うが、Dragon Ashが出てきたころを思い出す。

 

かたや、YouTube等の媒体を通しバズらせることで、影響力があり続けるアーティストもいる。
ぱっと思い浮かぶのは、ゲスの極み乙女。岡崎体育だ。
彼らも20世紀ならばCDとして何十万枚も売れたであろう。

そう、今、お茶の間の音楽というものは、CDのセールスではなく、DL数、ライブでの人気、ネット上での話題性等、多岐に渡っている。

昔からよく「売れる」という言葉を使うが、それはCDのことではなく「名が売れる」という意味に明確に変わってきている。

 

■表には出てこない実力者たち■

 

クオリティが高く斬新な音楽を作るアーティストは、お茶の間を避け、ストリーミング媒体に存在することが多くなった。
それは20世紀での「アングラ」というものとは意味合いがちょっと違う。
当時アングラというのはクオリティが高いというよりも、やっていることがマニアックだったり、変わっていて一般人にはなかなか受け入れられないものを指した。
今はむしろそういうアーティストがバズって有名になる可能性が高い。
「売れてしまう」のだ。

 

CDが売れないというこのご時世、実は日本のポップス文化を発展させるチャンスかもしれない。
そのためにはストリーミングサービスを主戦場としているクオリティの高いアーティストがお茶の間に向けて、その新しく高品質なものをぶつけていく必要がある。

彼らにとって、お茶の間のリスナーに自分たちの音楽を投げかけるというのは骨の折れることかもしれない。
何故ならば、彼らは音楽通が多いストリーミング系アプリ(Spotify等)で名声を得ているため、お茶の間に出る必要がそれ程ない。
他の有名なアーティストやCMにひっそりと楽曲提供をしたり、ライブやDJで十分稼げるからだ。

 

しかしそれでもやってほしいし、やらなければならないと思う。
お茶の間で「最近の音楽は全然よくない」と嘆いている人たちに、そんなことはないとまた新しい刺激をぶつけて欲しいのだ。
それこそが今までの音楽史に何度も登場してきた精神的ロックスターであり、そういう存在こそが日本を豊かにしてくれる起爆剤であると信じている。

 

最後に、個人的にお茶の間に登場してきて欲しい質の高いアーティストを何組か紹介する。

www.youtube.com

 

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